心を傷つける「見えない暴力」を知ろう
私たちの周りには、家族や友達、先生、学校の先輩など、たくさんの人との関わりがありますよね。
そんな中で、もし誰かが、ひどい言葉や態度であなたの心を深く傷つけたり、
困らせたりすることがあったら、
それは「モラルハラスメント(モラハラ)」かもしれません。
モラハラは、「精神的な暴力」とも呼ばれていて、体に傷をつける暴力とは少し違います。
目に見えないから、周りの人にも気づかれにくいし、
もしかしたら「自分が悪いのかも…」って思ってしまうこともあるんだ。
でも、モラハラのせいで心が深く傷ついて、学校に行けなくなったり、
毎日がつらくなったりすることもあるんだよ。
モラハラってどんなこと?
モラハラは、言葉や態度、表情、無視といった、直接手を出すわけではない方法で、
相手の心を傷つけ、自信をなくさせてしまう行為のことだよ。
こんな特徴があることが多いんだ。
- 何回も続く
一度だけじゃなくて、似たようなひどい言動が何度も繰り返されることで、
だんだん追い詰められていくんだ。 - こっそり、ずる賢い
目に見える攻撃じゃないから、周りの人には気づかれにくいんだ。
被害を受けている本人も、「もしかして自分が悪いのかも?」って思ってしまうことがあるよ。
これを「ガスライティング」って言うんだ。 - 一方的に支配しようとする
モラハラをする人が、自分の立場が上だと思って、相手を思い通りに動かそうとすることがあるよ。 - 人格を否定したり、バカにしたりする
「お前はダメだ」「お前なんていらない」みたいに、相手の存在や能力、考え方、
努力を否定したり、軽蔑するようなひどい言葉が多いんだ。 - 自分の責任を押し付ける
モラハラをする人は、自分が悪いことを認めないで、いつも被害者に「お前が悪い」って
責任を押し付けたり、自分を正当化したりするよ。 - 二つの顔を持つ
家の中や誰もいない場所ではすごく攻撃的なのに、学校の先生や友達など、
他の人の前ではすごく優しかったり、良い人のふりをしたりすることもあるんだ。
どんな場所で起こるの?
モラハラは、人と人との関係が深い場所や、閉じられた場所で起こりやすいんだ。
- 家の中
家族の間で起こることがあるよ。
例えば、親が子どもに対してひどい言葉を言ったり、行動を制限したり、
心を傷つけるようなことを言ったりすることもあるんだ。 - 学校
先生が生徒にひどいことを言ったり、生徒同士のいじめになったり、
部活動で顧問の先生や先輩が無理なことをさせたり、特定の子を無視したりすることがあるよ。 - 友達関係
友達なのに、見下すようなことを言ったり、みんなで無視したり、
行動を制限しようとすることがあるんだ。
なぜ「人格を否定する」のがモラハラで一番つらいの?
「お前はダメだ」とか「価値がない」って言われ続けると、
あなたの「自己肯定感(自分はこれでいいんだ、という気持ち)」が壊されてしまうんだ。
自分に自信がなくなって、何をするのも怖くなったり、
誰かに頼らないと何もできなくなったりするんだよ。
心がずっと緊張した状態になるから、よく眠れなくなったり、食欲がなくなったり、
やる気が出なくなったり、うつ病になってしまうこともあるんだ。
もしモラハラに気づいたら…
モラハラは、被害を受けているあなたが「自分が悪い」って思ってしまうことが多いんだけど、
それは絶対にあなたの責任じゃないからね。
もし「これってモラハラかも?」って感じたら、一人で抱え込まないでほしいな。
- 記録しよう
「いつ、どこで、誰が、何を言ったか、されたか」を具体的にメモしておくと、
後で誰かに相談するときに役立つよ。 - 信頼できる人に相談しよう
家族、友達、学校の先生など、信頼できる人に話を聞いてもらってね。
話すだけでも、心が少し楽になるし、客観的な意見も聞けるかもしれないよ。 - 専門の窓口に相談しよう
もし、家族や友達に話しにくいと感じたら、学校のカウンセラーや、子ども向けの相談窓口など、
専門の人が話を聞いてくれる場所がたくさんあるよ。
インターネットで「子ども 相談窓口」などで検索すると見つけられるから、調べてみてね。
モラハラは、誰もが加害者になる可能性も、被害者になる可能性もある問題なんだ。
だからこそ、私たち一人ひとりが、お互いのことを大切に思って、
思いやりのある言葉や態度で接することがとても大切なんだよ。
このサイトの記事を読んで、少しでも「モラハラ」について考えてくれたり、
何か気づいてくれたり、苦しんでいる人に寄り添ってくれる、
優しい気持ちが生まれてくれることを願います。